【発行】vol.12 伝統を継ぐ、ふたりの工人 <高橋一成×岡本雄>

秋田の手仕事を紹介するフリーペーパー「いま、秋田村から」vol.12 を発行しました。

今回は「伝統を継ぐ、ふたりの工人」と題し、こけし工人の高橋一成さんと岡本雄さんをご紹介しています。

 

髙橋一成さんは、木地山系こけしの工人さん。

郷土玩具好きが高じて工人に転身し、途絶えつつある木地山系の伝統型を数多く継承しながら、本人型や創作こけしも精力的に製作する人気の工人さんです。

 

  

岡本雄さんは、鳴子系の本荘こけしの工人さん。

木工職人として培った確かな技術と木の知識を生かし、柔軟な思考でこけと向き合い、伝統型から木地玩具まで製作する新進気鋭の工人さんです。

 

 

系統は異なりますが、ともに秋田で伝統こけしを受け継ぐおふたりに、製作やこけしに対する思い、そして今の心境など、普段はなかなか聞けない貴重なお話をじっくり伺いました。

 

 

本号の取材依頼をしたのは、2025年の秋頃。

熊騒動に振り回されている時期でしたが、秋田の手仕事のこれからを見つめ直した時に、ふたりのお顔がよぎったのです。

 

手仕事業界も高齢化が進み、ナウビレッジで取扱いさせていただいている職人さんも、大多数がご高齢です。後継者不在の課題も、重くのしかかっているのが現状で…。そうした中、今年に入ってからお二人の職人さんが亡くなられ、私にとっては受け入れがたい現実が重なりました。

 

 

どうしようもない現状を憂いてばかりいても仕方ない、今、精力的に活動している私と同世代の職人さんに色んなお話を聞こう!そう思ったのが、今号を作り始めたきっかけです。

 

 

工房に伺って、製作の流れ、こけしへの想い、今考えていることをお聞きする中で、おふたりの「決意」や「働き方」を知ることができました。

伝統こけしには系統(産地や形態・描彩の特徴に基づいて分類したもの)があり、これらは師弟関係によって受け継がれています。作家さんやアーティストとは少し違った立ち位置で、歴史軸の中に身を置くおふたりの視野は広く、長い時間軸で物事を見つめていました。

 

 

またこけし作りは、木地師の副業として始まった経緯がありますが、時を経ておふたりともダブルワーク、つまりふたつの肩書きを持ちながら工人さんを勤めています。副業か、パラレルワークか、業態の捉え方はさまざまですが、本業との掛け持ちで工人をすることの難しさ、面白さ、そして可能性についてお聞きすることができました。

 

 

多様性の時代。働き方も、いろいろあっていいと思います。東北・秋田には、工人という働き方もあるという選択肢の一つを教えてもらったような気持ちです。

 

 

今回の取材において、髙橋さんと岡本さんの考えに触れたことで、いつの間にか凝り固まってしまった私の思考や固定概念も緩やかに溶けていくような感覚がありました。

おふたりと話すなかで見えた小さな課題についても、本紙の中で共有しています。

 

 

そして今回は、カメイ美術館の青野由美子さんにもご寄稿いただきました。青野さんは、1995年からカメイ美術館の学芸員として、展覧会の企画や伝統こけしを調査研究されています。

カメイ美術館は、蝶、こけし、絵画、彫刻などを収蔵する美術館で、カメイ社会教育振興財団理事・亀井昭伍さんが蒐集した約5000本のこけしコレクションがあることで知られています。

 

  

「いま、秋田村から」では、作り手の「いま」をお届けすることで、秋田の手仕事に新たな光がともり、出会いや繋がりがさらに広がっていくことを願っています。

 

本紙は、オンラインショップからお取り寄せいただくことができます。

ナウビレッジ・オンラインショップ https://nowvillages.shop-pro.jp/

 

 

 

 

  

いま、秋田村から vol.12

特集:伝統を継ぐ、ふたりの工人 高橋一成×岡本雄

B5サイズ/8ページ

制作・発行 Nowvillage

https://nowvillages.shop-pro.jp/

  

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