秋田で家を建てる向けの建築雑記JUUの17号が発行されました。
今回も本誌後半に掲載されている「秋田の手しごと 暮らしごと」のコーナーを執筆させていただきました。書店などで見かけましたら、ぜひお手に取ってご覧ください。


今回、取材させていただいたのは伝統染織「秋田八丈」を制作する、はまなす工房さん。昨年、工房を移転したのを機に、工房名も新しくなりました。
制作してるのは、奈良田登志子さん。
秋田ゆかりの伝統染織で、江戸時代中期に陸奥国から伝わったのが始まりといわれています。明治の最盛期に秋田八丈を染織する多くの工房があったものの、現在「秋田八丈」を作ることができるのは奈良田さんただひとりです。

取材させていただくのは2回目で、写真は移転前の様子。(以下の写真も移転前の写真です)
相変わらず気さくなお人柄で、今回もカメラマンや編集者のみなさんと笑いが絶えない取材になりました。
秋田八丈の特徴は、秋田市で採れるはまなすの根で染色しているところ。鳶色(とびいろ)と呼ばれる深い茶色に染め上げます。

染料は、はまなすのほかに、 カリヤスやヤマツツジなどから作られており、工房内の染め場で絹糸を染色しています。
制作工程は、驚くほど長い道のりを歩みます。

でも秋田八丈の工房は、そのすべてを知ることができる稀少な制作現場です。
私たちが身にする衣服や布が、どんな素材で、どのように作られているのか? その全工程を知ることがでる工房がこんな身近にあることは、奇跡に近いことだと私は思います。

手をかけ、時間をかけ、思いを紡ぐ布作りは、私たちの暮らしの源流を辿るようでもあると、奈良田さんの仕事を見て思いました。

近年は、ファストファッションの台頭で洋服が手軽に買えるようになった分、深刻な洋服ロス問題も引き起こしています。
自分自身もその渦中にすっぽり埋もれているであろうひとりですが、 奈良田さんの仕事を目の当たりにし、そんな現実を少し客観的に見つめる機会にもなりました。
秋田八丈に学ことは、まだまだたくさんありそうな気がしています。


建築雑誌 JUU vol.17
秋田県内の書店やローソンで販売中です


