お正月、みなさんは何をして過ごしていますか。
今回は、秋田のお正月飾りについてご紹介します。
これは箕について調べていたとき、箕作り職人の田口さんとイタヤ細工の佐藤さんから教えていただいたお正月飾り。

秋田では、箕(み)にお餅をのせてお正月に飾る風習があり、ご家庭によっては一緒に松や白紙、昆布や花などを添えることもあるとか。
箕が折敷(おしき)の役割を担っています。
今回は鏡餅と松、そして水引細工を飾ってみました。(鏡餅は市販品です)

秋田は箕作りが盛んで、県内7か所で作られていた記録があります。
農業に欠かせない道具として重宝され、暮らしの一部になっていたのです。
しかしプラスチックなど新素材の登場や農業の機械化により箕の需要は激減、今では箕を作ることができる職人さんは、秋田市太平地区(太平箕・おえだらみ)と仙北市雲然(雲然箕・くもしかりみ)にそれぞれいるだけとなってしまいました。

編組品のなかでも「竹つけ10年」といわれる箕作りは、独特な編組法としなりを生みだすコツが難しく、技を習得するまでには長い年月が必要です。
作り手が少なくなってしまった今では、稀少な伝統技です。

以前、秋田魁新報社「ハラカラ」のコラムで、箕について書かせていただきましたが、秋田の箕が美しい理由は大きく二つ。
一つは材料にイタヤカエデの木が使われていること。もう一つは、縁起物としてお正月飾りや年中行事で飾られる風習があったからだと私は考えています。

秋田に来るまで、箕をしみじみ観賞したことはありませんでしたが、よく見ると末広がりの美しいかたちをしています。
福をすくう、幸せをかきこむといういわれも納得できます。関東でいう熊手のような存在なのかもしれません。

箕にお餅をのせると聞いたときは正直驚きましたが、今回初めて鏡餅をのせてみたら意外にもしっくりきて、なんだかとても嬉しくなりました。
昔ながらの風習は、やっぱりいいものですね。
縁起を担いで、今年も良いことがありますように―。



