愛媛の郷土玩具「金天だるま」のご紹介です。
私が金天だるまと出会ったのは、もう6、7年前になるでしょうか、姫だるま制作者・両村信恵さんの工房を初めて訪れた時でした。
姫だるまの歴史や制作工程についてお話を聞きながら、ふと横を見ると、こちらをじぃーーーーーーーーっと見ているだるまさんがいたのです。それが初めての出会いでした♡。

意思が強そうな三角まゆげと、視線が合いそうで合わない三角の目、とぼけたおちょぼ口が可愛くて、一瞬で好きになりました。これを一目惚れって言うのでしょうね(笑)。
金天だるまは愛媛松山の神社で学業祈願の授与品として古くから親しまれており、当時は三穂神社「えびす祭り」の散餅景品のひとつとして地元で親しまれていましたが、郷土玩具としてショップなどの店頭には殆ど並んでなかったので、ぜひ取り扱わせていただきたいとお願いしました。
姫だるまの原型になったと言われるほど歴史が古い金天だるまですが、愛媛の金天だるまに関する資料や文献は少なく、両村家でも金天だるまにまつわる言い伝えは殆どないそうです。

でも戦火を逃れ受け継がれてきた型で、初代から変わらないスタイルを一貫して守り続けている五代目の両村信恵さん。「白が太陽、緑が松葉を表しているのよ」と、先代から教えてもらったという絵付けの意味を、穏やかな口調で教えてくれました。
両村さんについては、昨年に出版された本「暮らしの図鑑 民藝と手仕事(翔泳社)」のコラムにも書かせていただいているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。→翔泳社「暮らしの図鑑」。


愛媛で暮らしていた時は、地元の郷土玩具をもっと身近に感じて欲しいという思いで、金天だるまに絵付けをするワークショップを開催したり、学童で出張ワークショップをさせていただきました。
(当時のブログはこちら→2017年4月23日「金天だるまワークショップ」 / 2017年8月26日「学童での出張ワークショップ」)


ワークショップの良いところは、手仕事の楽しさや難しさを実際に体験できること。まさに百聞は一見に如かずで、手仕事との距離がぐっと縮まります。
金天だるまの場合は、一見シンプルで単純そうな太陽と松葉を描くことが、いかに難しいかが分かります。特に太陽を表す白色は、貝殻を砕いた胡粉を膠で溶いて描かれているのでモタッとした弾力があり、膠の乾きに併せてスピード感も必要です。

こうしたワークショップのおかげで、今も金天だるまを見るたびに、たくさんの方の笑顔を思い出します。そして参加してくれた方の多くが、金天だるまを今も傍に置いてくれていると思うと、嬉しい気持ちになります。
コロナが落ち着いたら、秋田でも手仕事のワークショップを開催したいと思っていますが、今はまだ足踏み状態…。静かに準備を進めていますので、目途が付いたらまたご案内させてください。

そして、オンラインショップで完売していた「金天だるま」が再入荷しました! みんなを笑顔にさせてくれる癒しの金天さん、どうぞよろしくお願い致します。
・金天だるま http://nowvillages.shop-pro.jp/?pid=97118582




